イタコと霊能者

青森県の恐山で有名なイタコは霊能者なのか、そして口寄せとはどんな霊術なのか?

イタコとは何か?

青森の恐山で厳しい修行を積んだ盲目の女性が、自らの肉体を霊媒として死者の霊を降ろして、死者の心のうちをその口で語ることで有名なイタコは、日本で最も広く認知された霊能者の職業かもしれません。青森県むつ市にある恐山は日本三大霊山の一つであり、実際に足を運んだことのない人も、恐山の名とイタコの存在についてはご存知だと思います。果たしてイタコとはどのような存在なのでしょうか。

東北の風習では今もイタコにまつわる儀式や伝統が生きています。例えばオシラアソバセと呼ばれる儀式では、東北の家に祀られているオシラ様と呼ばれる神様の人形を、年に一度「遊ばせる」ための儀式ですが、この儀式はイタコの伝承に密接に関わっていると言われています。また、現在も観光客向けにイタコの口寄せの儀式などをしている「現役の」イタコさんも数は減ったもののいらっしゃいます。

最も有名な「口寄せ」というイタコの霊術は、もはやイタコの代名詞としても使われるほどに有名になりました。死者の霊をイタコがその身に降ろして憑依させ、霊の言葉をイタコが語るのがこの口寄せと呼ばれる霊術です。この「口寄せ」こそがイタコを代表する霊術であり、世界中に誇れる日本文化とも言えます。霊能者であっても口寄せを行えなければイタコとは言えず、逆にイタコ以外の存在が口寄せを行うこともありません。

この口寄せという言葉は最近では新聞やテレビなどでも報道されることがあります。青森県の恐山で毎年開催される大祭では今もイタコが口寄せを行っていて、参拝客がそのイタコの口寄せを目当てに行列を作ったりすることが報道されたりしています。このようにイタコの口寄せは伝説でも過去の風習でもなく、青森県では現代もなお生きた伝統であり、これからも伝承していきたい日本の文化の一つなのです。

イタコの口寄せ

実はイタコの口寄せには、降ろす霊の種類によって異なる名前で呼ばれるのですがご存知でしょうか。口寄せと聞いて誰もが思い浮かべる最も一般的な口寄せでは、イタコが相談者に縁のある亡くなった方の霊を降ろします。このように死者の霊、つまり死霊を降ろす口寄せのことを、死口(しにくち)または仏口(ほとけくち)と呼びます。四十九日を過ぎて成仏した霊を降ろすのが仏口(ほとけくち)、死後間もない霊を降ろすのが死口(しにくち)と、同じ死霊を降ろす口寄せを二種類に呼び分けるそうです。

また、あまり知られていない口寄せの方法として、行方不明者や遠方で生存している人物、また相談者に縁がある生存している人物の生き霊をイタコが降ろすことがあります。このように生き霊を降ろす口寄せのことを、死口(しにくち)や仏口(ほとけくち)に対して、生口(いきくち)と呼んで区別するのです。実際にこの生口(いきくち)を行うイタコは数少ないとも言われていますので、イタコに口寄せを依頼する際には事前に生口(いきくち)をお願いできるか確認すると良いでしょう。

更に特殊な口寄せとして、人の霊よりも高位の存在である神仏を降ろし、ある種の神託のようなものを得るという口寄せがあるそうです。このような口寄せは、神の口と書いて神口(かみくち)と呼びます。イタコが神口(かみくち)で降ろす神仏とは何であるのかはあまり明らかにされていませんが、前述のオシラ様をはじめとする東北の生活に根付いた身近な神様であることが多いようです。その強大な存在をイタコ自らの肉体に降ろすには命の危険も伴う儀式であり、神口(かみくち)に対応できるイタコは多くありません。また神口(かみくち)と言うものの、実際には神仏に関わりのある方の霊などを降ろして、神様の言葉を伝言して頂くという形をとる場合もあるようです。

いずれにしても、イタコの口寄せに関してはあまり情報が多くなく、またイタコがその詳細について語ってくれないこともあり、どのような仕組みと霊的な手続きによって行われているのかについて不明な点が多く残されています。このため、近代的なアプローチによって霊能力を体得した霊能者がイタコの霊術を模倣しようとしてもなかなか口寄せと同等の霊術を実現するのが困難なのです。青森県の恐山近辺の本家のイタコは人数も少なく、伝承者の不足に悩んでいるそうです。厳しい修行に耐えられる女性が少なくなったことも理由の一つかもしれません。このままではイタコの霊術について、世代の移り変わりとともに失われてしまう恐れもあるでしょう。

イタコに関係する電話占いについては、こちらの「イタコの電話占い(1)」をご覧下さい。